以前、得意なことをやっていきましょという記事で、ちょっと強い口調で、業務系ソフトウェア開発の現状を批判させていただきました。
Life is beautifulというブログのソフトウェアの仕様書は料理のレシピに似ているという記事に、また違う角度からのお話が載ってます。
私の感情的な記事より説得力がある、いい内容だと思います。
(この記事だけでなく、ブログ自体オススメですよ)
この方は、アメリカにご滞在だそうで、直接日本の開発現場にいらっしゃるわけではないようです。
でも、この方の観察は的確です。
この現状が、多くの技術者の首を絞めていることについては、経済産業省の懸念も的を射ています。
なぜ、日本のソフトウェア開発業は変わらないのか。
私はこうじゃないかと考えています。
企業というのは、できる限り低いリスクで、できる限り多くの収益を得るという使命を負っています。
現在のゼネコン的なトップダウンの開発手法をドラスティックに変えることは、企業にとって大きなリスクを伴いますので、そうそう簡単にはできないでしょう。
体力のない下請けソフトハウスには、手に負えないと思えるほどのリスクです。
発注元である大手ベンダーにしてみれば、下請けが低賃金でやってくれるのだから、このままのやり方でいった方が、コストが低くて済みます。
もちろん、リスクやコストに対するこの見方は、あまりにも偏っています。
プロジェクトが失敗すれば、コストはどんどん膨らんでいきます。
出来上がったソフトウェアの品質が低ければ、競争力は低下します。
でも、これらのほとんどの問題は、下請けに責任が回ってくることになっています。
賠償責任が発生するような、最悪の失敗の場合には、さすがにベンダーも責任を免れませんが、そこまでいかない限り、下請けがほとんどかぶってくれるのです。
下請けは大変です。
低賃金でこき使われた上、責任までとらされるんですから。
でも、「下請けやってくれる会社は、他にもいっぱいあるからね」とか言われちゃったら、逆らえませんよね。
「次は、おいしい仕事まわすから」という言葉とあわせて、アメとムチです。
ベンダーの方は、こういうシクミでやってるかぎり、大事な商売道具であるネームバリュー*)はめったに傷つきません。
実際に作ってるソフトウェアの質とは関係なく、高いネームバリューを維持できるわけです。
この現状をなんとかすることは、企業の側からすると、一朝一夕にできる問題ではないのです。
もう、商売のシクミがこういうふうにできあがっちゃってますから。
この方もおっしゃっていますが、このことは、日本のソフトウェア開発業界の、国際競争力を確実に低下させています。
近頃、ソフトウェア開発業に限らず、さまざまなところでこういった「業界のヒズミ」のようなものが暴かれ、糾弾されています。
近い将来、日本のソフトウェア開発業も、そういった糾弾を受けることになるかもしれませんね。
そこで急激な変化を迫られれば、業界全体が大打撃を受けるでしょう。
場合によっては、それに乗じて国外の企業に席巻されるかもしれません。
その波をこえて辛抱強く待てば、業界は正常な姿勢を取り戻し、日本の技術者も復権するかもしれませんね。
でも、できれば、そんな波がくる前に、なんとかしたいですよね。
もし、業界全体をなんとかするのが無理なら、自分だけでもそんな波とは関係ないところにいたいですよね。
才能は、それが生かされるところにあるべきです。
なんか、前回の記事得意なことをやっていきましょと同じまとめかたになってきましたので、このへんで終わりたいと思います。
どういう風にまとめようとしていたのかは、前回の記事を読んでいただければ、わかるかと。
* 日本人は、ネームバリューに弱い傾向があるのかもしれませんね。
だとすると、ネームバリューで依頼先を決めてしまう、顧客にも問題があるのでしょう。
でも、顧客の立場で考えてみると、業務用ソフトウェア開発の依頼先って、どうやって選べばいいんでしょう?
建設業のような場合、建設されたものが見られますから、大きな判断材料になります。
でも、業務用のソフトウェアというのは、ユーザー企業以外の人は見ることができませんよね。
まじめに依頼先を選定する方は、どうしてらっしゃるんでしょうかね?
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